AutoCADが正常に起動しない不具合。起動時に『ユーザーアカウント制御』(UAC)が表示されて管理者権限を求められる。Windows11やWindows10などで発生。KB5063878 / KB5063709など2025年8月のWindows Updateに起因 [Update 4: 改善・対処]

WindowsUpdate

AutoCAD Issue

Windows11 24H2や23H2、Windows10などを含む複数のWindows環境において、AuroCADが正常に起動しない不具合が発生しています。

更新履歴 [記事初公開日: 2025/8/24]
① Autodeskから新たな回避策が案内されました。『対処方法・回避策』にレジストリエディターを使用した『回避策B』を加筆。『不具合概要』の影響を受けるとされる更新プログラムに、2025年8月27日公開のWindows10 22H2とWindows11 23H2のプレビューリリースを加筆。 [2025/8/27]
② 『不具合概要』の影響を受けるとされる更新プログラムに、2025年8月30日公開のWindows11 24H2のプレビューリリースを加筆。 [2025/8/30]
③ 本件について、Microsoft側からも発表されました。その旨、記事下部に加筆。 [2025/9/4]
④ Microsoftがこの問題に対処した旨を記事最下部に加筆。 [2025/9/10] [New]

不具合概要 [2025/8/27]

日本時間で2025年8月13日にリリースされたWindows Update / セキュリティ更新プログラムをインストールしたWindows11 24H2 / 23H2、Windows10 22H2などにおいて、AutoCAD製品(2022~2026の各エディションやCivil 3Dなど)を起動すると、『ユーザー アカウント制御』(User Account Control / UAC)が表示されて管理者権限を要求され、正常に(普通に)起動できません。

AutoCADを起動するとUACが表示される
AutoCADを起動するとUACが表示される

管理者のユーザー名とパスワードを入力すればAutoCADが起動しますが、企業や組織など、管理者権限を持たないユーザーは起動することができません。

現時点で、この不具合が発生するOSおよび不具合を内包するとされる更新プログラムは以下。

  • Windows11 24H2
    KB5064081 (2025年8月30日公開 プレビューリリース)
    KB5063878 (2025年8月13日公開 セキュリティ更新プログラム)
  • Windows11 23H2
    KB5064080 (2025年8月27日公開 プレビューリリース)
    KB5066189 (2025年8月20日公開 緊急リリース)
    KB5063875 (2025年8月13日公開 セキュリティ更新プログラム)
  • Windows10 22H2
    KB5063842 (2025年8月27日公開 プレビューリリース)
    KB5066188 (2025年8月20日公開 緊急リリース)
    KB5063709 (2025年8月13日公開 セキュリティ更新プログラム)
  • Windows 11 Enterprise LTSC 2024
    KB5064010 (2025年8月13日公開 セキュリティ更新プログラム(ホットパッチ))
  • Windows10 Enterprise LTSC 2019 / Windows10 IoT Enterprise LTSC 2019
    KB5066187 (2025年8月20日公開 緊急リリース)
    KB5063877 (2025年8月13日公開 セキュリティ更新プログラム)

備考: 2025年8月20日の緊急リリースは報告には含まれていませんが、2025年8月20日の緊急リリースは『OSの回復やリセットに失敗する不具合』を修正するだけのものであり、本不具合の影響を受けるはずです。同様に2025年8月27日以降のプレビューリリースも本不具合が修正されたとは書かれておらず、影響を受けるはずです。このほか、報告・確認されていないだけで、上記以外のOSや更新プログラムも影響を受ける可能性があります。

対処方法・回避策

上記の不具合が発生した場合、一時的な対処方法として、Autodesk社は2つの回避策を案内しています。1つは2025年8月13日(以降)にリリースされた更新プログラムをアンインストールすること、もう1つはレジストリエディターを使用して『ユーザー アカウント制御』を無効化すること。これらのいずれかを行うことで、本不具合を回避できます。

また、Autodesk社は、現在、Microsoftと協力して本不具合の解決に取り組んでいるとのことです。(Microsoft側から本不具合に関するアナウンスはまだありません)

回避策A: 更新プログラムのアンインストール

Windows11およびWindows10での更新プログラムのアンインストール手順は以下。なお、上記更新プログラムはセキュリティアップデートのため、アンインストールすると脆弱性が未修正のままになることには注意が必要です。

▼Windows11

1. スタートボタン』 → 『設定』 → 『Windows Update』 → 『更新の履歴』 → 一番下にある『更新プログラムをアンインストールする』を選択。

2. 当該更新プログラムの『アンインストール』を選択すればアンインストールされます。

WindowsUpdate更新プログラムのアンインストール方法

3. アンインストール後は、更新プログラムが再び入ってこないように更新プログラムを一時停止しておきましょう。『更新の一時停止』から停止する期間を選択。

Windows11 - WindowsUpdateを一時停止

▼Windows10

1. 『スタートボタン』 → 『設定』 → 『更新とセキュリティ』 → 『更新の履歴を表示する』 → 『更新プログラムをアンインストールする』を選択。

2. 当該更新プログラムを右クリックして『アンインストール』を選択すればアンインストールされます。

更新プログラムのアンインストール方法

3. アンインストール後は、更新プログラムが再び入ってこないように更新プログラムを一時停止しておきましょう。『Windows Update』の画面から、『更新を 7 日間一時停止』や、『詳細オプション』の『更新の一時停止』を選択。

Windows10 - WindowsUpdateを一時停止

回避策B: 『ユーザーアカウント制御』(UAC)を無効化

レジストリエディターを起動([Windows] + [R]キーを押して『regedit』と入力してエンターキー)して、以下のレジストリを設定してください。

【キー】HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\Installer
【DWORD】DisableLUAInRepair
【値】1

『DisableLUAInRepair』を『1』に
『DisableLUAInRepair』を『1』に

おそらくほとんどの環境で、キー『Installer』やDWORD『DisableLUAInRepair』は無いと思うので、無ければ作ってください。

その後、PCを再起動してください。再起動後は管理者権限を要求する画面が表示されなくなります。元に戻したい場合は『DisableLUAInRepair』を削除してください。

企業や組織などは、グループポリシー管理コンソール(GPMC)を利用してこのレジストリを組織内に展開することも提案しています。

なお、Autodeskによると「このレジストリは、AutoCAD製品を起動した際に発生する2回目の『.msi』インストールに対してのみUACを無効にします。Windowsシステム全体のセキュリティには影響しません」とのこと。

Update 3: Microsoftからも発表 [2025/9/4]

本件について、Microsoftからも発表されました。詳細は以下の記事をご覧ください。

  アプリ起動時に『ユーザーアカウント制御』(UAC)が表示されて管理者権限を要求される不具合。Microsoftからも発表。AutoCADなどMSIを使用するアプリに影響。すべてのWindowsで発生。2025年8月Windows Update KB5063878などに起因

Update 4: 改善・対処 [2025/9/10] [New]

Microsoftはこの問題に対する改善・対処を、日本時間で2025年9月10日にリリースしたセキュリティ更新プログラムに実装しました。2025年9月10日以降の更新プログラムをインストールすると、特定のアプリに対して『ユーザー アカウント制御』を非表示に設定することができます。

設定方法については『Unexpected UAC prompts when running MSI repair operations after installing the August 2025 Windows security update』のページをご覧ください(※英語ページです。日本語ページもありますが機械翻訳です)

Posted by にっち