【コラム】トランプ関税が各国に物価高を招く最悪のシナリオ。PC関連製品への影響は
トランプ関税により、米国内における輸入品価格が上昇することは誰しもが想像できることでしょう。しかし、この問題は米国内だけに留まらず、日本やその他の国にも物価高を招く恐れが出てきました。
ドイツのサンダルメーカーのビルケンシュトックや、デンマークの宝飾企業パンドラなど、ワールドワイドに事業を展開する企業は、関税引き上げに伴うコスト上昇を分散させるために各国での値上げを検討しています。
その理由として、米国内だけで大幅に値上げを行うと、米国での売り上げに影響が出るためです。2025年5月20日付けでReutersが報じました。
これが一部のメーカーだけに留まれば大きな影響は出てこないでしょう。しかし、あらゆるメーカーがこのような対応を取ればどうなるでしょうか。最悪のシナリオでは、世界規模的な物価高に見舞われます。
PCパーツやPC関連製品を扱う多くの企業はワールドワイドに展開しています。PC関連企業が今後どういった対応を行うかは現時点では不透明ですが、ビルケンシュトックやパンドラのような対応を取れば日本国内の価格上昇も避けられません。
ほとんどの場合において、関税上昇分は販売価格へと転嫁されます。関税上昇分を企業側ですべて負担するなんてことはまずありません。
個人的な意見を率直に言わせていただくならば、トランプ関税による輸入品価格の上昇分は米国内で消化していただきたく思います。米国民には負担増となるでしょうが、トランプ大統領を選んだのは米国民です。販売価格へと転嫁された関税分を、日本国民や他国民が負担をする理由はどこにもありません。
アディダスは「米国の関税を理由に米国外で値上げする理由はありません。関税に関する議論は米国内だけのものです」と述べており、他国への分散は行わない意向を示しています。
すべての企業がアディダスのような判断をしていただくことを願わずにはいられません。