AMDがES版Zen 6 Ryzenをすでに配布しているとの情報。HYDRA開発者がスペック等に言及
AMDの次世代アーキテクチャとなるZen 6について新たな情報が入りました。
Ryzenチューニングアプリ『HYDRA』開発者であるYuri Bubliy氏(1usmus氏とも呼ばれる)はDiscordにて以下のように述べています。
▼Zen 6について Zen 6のエンジニアリングサンプル(Engineering Sample / ES版)はすでに配布されています。Zen 6は『革命』というよりは『進化』といった方がしっくりくるでしょう。 CCDあたりのコア数が増加し、メモリコントローラーも1基から2基へと増える予定です。(しかし、詳細についてはまだ不明です) メモリチャネルはデュアルチャネルのままです。 新しいブースト技術は予定されておらず、Curve Optimizerも変更はありません。HYDRAでのサポートも問題ないでしょう。 ― Yuri Bubliy (1usmus) |
Yuri Bubliy氏によると、ES版Zen 6 CPUはすでにマザーボードメーカーやパートナー企業などに配布が行われているとのこと。このES版Zen 6がコンシューマー向けの次世代Ryzen (Ryzen 10000シリーズあるいはRyzen 11000シリーズ)なのか、それともサーバー向けの次世代EPYCなのかについては明言されていませんが、発言の内容からして前者を指したものであることはまず間違いありません。
そしてYuri Bubliy氏の発言の注目点はやはり『CCD』でしょう。Yuri Bubliy氏はCCDあたりのコア数が増加すると述べています。以前より、Zen 6のCCDは1基あたり12コアになるとYouTubeチャンネルのMoore’s Law is Deadがリークしていましたが、Yuri Bubliy氏も同様の見解を示しました。
Yuri Bubliy氏はマザーボードメーカーやRyzenの開発に携わるエンジニアと密接な関係にあることから、情報の確度は高いものと見られます。
これまでに出てきたZen 6 Ryzenに関する情報をまとめると以下。
▼Zen 6 Ryzenに関するこれまでのリーク情報
- 1CCDあたり12コア
- 2CCDのハイエンドモデルは計24コアに
- CCDはTSMC N2 (2nm)プロセスを採用し、さらに具体的に言うとN2Xが見込まれている
- 1CCDあたりL3キャッシュは48MB
- 参考までにZen 5では1CCDあたり32MB、つまりZen 6は1.5倍
- 3D V-Cacheは96MB。やろうと思えば積層が可能で2レイヤー(=192MB)も可能だがコンシューマー向けに製品化されるかはわからない
- 参考までにZen 5では3D V-Cacheは64MB、つまりZen 6は1.5倍
- メモリコントローラー(IMC)は2基
- メモリはデュアルチャネル
- IODにZen 5のLPコアが2コア搭載されるかもしれない(※不確定)
特にPCゲーマーが注目したいのは3D V-Cacheを搭載したX3Dモデルでしょう。現行製品のRyzen 7 9800X3Dの後継となるRyzen 7 10800X3D (あるいはRyzen 7 11800X3D)は以下のようになることが見込まれています。
- Zen 5: Ryzen 7 9800X3D
1CCD 8C16T / 64MB 3D V-Cache - Zen 6: Ryzen 7 10800X3D (or Ryzen 7 11800X3D)
1CCD 12C24T / 96MB 3D V-Cache (1レイヤーの場合)
コア数も3D V-Cacheも1.5倍に増加し、ここにIPCやクロック向上も加わって、今以上に優れたゲーム性能を期待できます。
AMDはまだZen 6 Ryzenに関する発表をしていませんが、コンシューマー向けRyzenはおおむね2年周期で発売されています。これまでの流れを踏襲するなら、Zen 6 Ryzenは2026年後半の発売が見込まれます。