ASRock、CPUが壊れるのは自社の責任と認める。ASRockマザーボード環境でRyzen 9000シリーズが故障する件 [Update 2: ASRock Japanが知りうる現時点での詳細を加筆]
ASRockは、同社製マザーボード環境下でRyzen 9000シリーズCPUが壊れるのは自社の責任だと認めました。
更新履歴 [記事初公開日: 2025/5/30] ① ASRockが誠実な対応を行うと述べた旨を記載。 [2025/5/30] [New] ② 記事下部にASRock Japanが知りうる現時点での情報を加筆。 [2025/5/30] [New] |
ASRockマザーボード環境下でRyzen 9000シリーズCPUが完全に壊れる・故障するという不具合が発生しています。この件の詳細については、まずは以下の記事をご覧ください。
ASRockマザーボード事業担当VPであるChris Lee氏は、YouTubeチャンネルGamers Nexusのインタビューで不具合について以下のように述べました。
少し複雑なので3つのケースにわけます。1つ目は、ユーザーエラーによりCPUが壊れたという極一部のケースです。2つ目は「CPUが壊れた」として返品されたものの、実際には壊れておらず、動作したケースです。調査した結果、これはメモリとの相性・互換性による問題でした。私たちはこの問題を修正するBIOS 3.20をリリースしました。 最後に3つ目ですが、(上記2つのケースとは関係なく)CPUの見た目には何も影響がなくてもCPUが動作しなくなる(完全に壊れる)というものです。 私たちはこれをAMD側の問題だとは言いません。調べたところ、BIOS設定、具体的にはPBO (Precision Boost Overdrive)の設定に関係していました。もう少し詳しく説明するとPBOの2つの設定を調整しました。1つはTDC (Thermal Design Current)、もう1つはEDC (Electrical Design Current)です。この2つの設定値が高すぎた可能性があったことがわかりました。新しいBIOS 3.25ではこの2つの設定値、つまりPBOの設定値を引き下げました。これにより(CPUが完全に壊れる不具合は)解決できるものと考えています。 ― ASRock VP of Motherboard Business, Chris Lee |
Chris Lee氏はAMD側の問題ではないと述べました。つまるところ、ASRock側の問題と認めたということとなります。
Chris Lee氏によると、もしこの不具合に遭遇してCPUが壊れた場合、AMD側で交換対応を行っているとのことです。この不具合によりCPUが壊れた日本国内ユーザーは、CPU購入店や販売代理店にご連絡ください。
また、Chris Lee氏によると、マザーボードに関してはこれまでに1枚も故障したマザーボードはないとのことです。言い換えるなら、ASRockマザーボード環境でRyzen 9000シリーズCPUが動作しなくなった場合、BIOS 3.20やBIOS 3.25にしても改善が見られないならそれはCPUが壊れているということを意味します。
現在、ASRockマザーボードでRyzen 9000シリーズをお使いの方は、BIOS 3.25へとアップデートを行ってください。Chris Lee氏の発言および前回のTech YES Cityの動画で報じられたことをそのまま読み解くなら、そうしないとCPUが壊れる可能性があると受け取れます。
なお、この不具合は主にPBO設定が高いミッドレンジからハイエンドマザーボード(B650やB670E、B850やX870など)が影響を受けるとされています。A620といったローエンドマザーボードは最初からPBO設定値が低いため影響は受けないとされています。また、この不具合は初期ロットのCPUが影響を受けるとされています。
本来であれば、このような重大なことは、一部のYouTubeチャンネルで明らかにしたり、マイナーな当サイトではなく、ASRock公式Webサイトでプレスリリースとして迅速に告知し、ユーザーに対して徹底周知を行うべきではないでしょうか。
このことを知らず、保証期間が切れたあとにCPUが壊れた場合はいったいどうなるのでしょうか。その辺の保証についても明確にしていただきたく思います。
< Update 1: 誠実な対応を行うと述べる > [New]
本件について、ASRock Japanは誠実な対応を行うことをX (旧Twitter)上で述べました。今後の対応に期待したいと思います。
< Update 2: ASRock Japanが知りうる現時点での詳細 > [New]
ASRock Japanが2025年5月30日のYouTubeライブ配信で本件について多くを語っていただいたので、箇条書きでまとめたいと思います。
- Redditに約200件の報告があるものの、そのうちの190件くらいがメモリの相性問題による報告
- 把握している焼損の問題は5件で、この内1件はユーザーエラー。不具合による焼損は4件
- Chris Lee氏が言っていた見た目には何も影響がなくても動作しなくなった件についての情報はまだない
- PBOの設定に関してはAMDのルールに基づいて設定していた。他社が『弱』のところ、ASRockは『中』に設定していた。上限付近(つまり『高』)ではなく、文字通りに『中』くらいにしていた
- ASRockとしては今のところPBOが怪しいと見ているものの、現時点ではPBOが原因と100%は確定していない。今後、BIOS 3.25で落ち着く(解決する)可能性もあれば落ち着かない可能性もある。現時点ではまだ断定することはできず、精査中・調査中で、PBO以外の可能性も模索していく。ひとまずはBIOS 3.25にしていただいて様子を見ていただきたい。それでも問題が発生した場合は連絡をいただきたい
- ユーザーの不安に答えるために、Webページに窓口を設置予定
- まだ検証を継続中のため、しっかりと問題が解決したらプレスリリースを公開する
- 万が一壊れてもしっかりとサポートを行うので安心してもらいたい
- 隠蔽したり隠したりすることはなく、真摯な姿勢をこれからも続けていく所存
- 情報のアップデートがあればライブ配信で話をしていく
重要な要点をまとめましたが、より細かい内容はライブ配信をご覧ください。