【CPU】 Intel「マイクロコードを使用したくばベンチマークや比較した結果は公開するな」 [Update 1: Intelが内容を更新]

CPU

Intel CPUの脆弱性を緩和するマイクロコードのソフトウェア使用許諾契約に、とんでもない一文があることが判明しました。その内容がこちら。

    3. LICENSE RESTRICTIONS.
    (中略)
    Unless expressly permitted under the Agreement, You will not, and will not allow any third party to
    (i) use, copy, distribute, sell or offer to sell the Software or associated documentation;
    (中略)
    (v) publish or provide any Software benchmark or comparison test results.


    3. ライセンスの制限事項
    (中略)
    明示的に許可されている場合を除き、お客様は第三者に対して以下のことを禁止します。
    (i) 本ソフトウェアまたは関連文書の使用、複製、頒布、販売、または販売すること。
    (中略)
    (v) ソフトウェアベンチマークまたは比較テストの結果を公開または提供すること。

おわかりいただけたでしょうか。Intelはセキュリティを盾に 「マイクロコードを使用したくばベンチマークや比較した結果は公開するな」 と口封じしようとしているわけです。



このソフトウェア使用許諾契約はLinuxのOSベンダーがOSに組み込むためのマイクロコードに同梱されています。OSベンダー以外にも適用されるかどうかはわかりませんが、少なくともOSベンダーには適用されます。これにより、パフォーマンスにどれほどの影響が出るのか、OSベンダーの口から案内することが禁じられます。(規約が法的に有効かどうかはさておき)

マイクロコードを適用するとCPUの脆弱性は緩和できますが、CPUパフォーマンスの低下が問題となっています。ユーザーや製品の購入を考えている人は、マイクロコードを適用したことでパフォーマンスにどれだけ影響が出るのか知りたいはずです。

しかし、このソフトウェア使用許諾契約はそれを第三者に知らせることを禁じています。これは知る権利を踏みにじる行為と言えるのではないでしょうか。

そしてこれは顧客に対して影響を隠匿しようとしていると思われても仕方のない行為です。少なくとも自分はそう思いました。

NVIDIAのGPPといいIntelのこれといい、マーケティング担当によるものなのか規約担当によるものなのかは知りませんが、どれだけ良い製品を作っても、こういったところで台無しにするのはなぜなのか。

こういった愚かな行動は、企業イメージを失墜させるには十分すぎるほどの悪手です。なぜそんなこともわからないのか。自分には不思議でなりません。

< Update 1: Intelが内容を更新 >
Intelは2018年8月24日付けで最新のマイクロコードパッケージを公開し、ソフトウェア使用許諾契約から件の内容を削除しました。これにより、自由にベンチマークや比較した結果を公開できるようになりました。

Intelも今回の件がどれだけ愚かなことだったかを認識したのか、行動が迅速でした。こんな馬鹿げたことは二度としないでいただきたいものです。

いずれ古いマイクロコードのソフトウェア使用許諾契約も最新のものに差し替えられるかもしれません。古いものと最新のものを見比べたい人のためにソフトウェア使用許諾契約が書かれたlicenseファイルを置いておきます。解凍してメモ帳等のテキストエディタで開いてご覧ください。

古いものは300行なのに対して、最新のものはわずか30行と大幅にカットされています。