【Windows10】 WindowsUpdate 2021年9月 不具合情報 - プレビューリリース KB5005611 [Update 2]

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2021年10月1日にWindowsUpdateに配信されたWindows10用更新プログラムKB5005611の不具合情報です。

月例の翌週以降に公開・配信される更新プログラムは『プレビューリリース』と呼ばれており、新たなセキュリティアップデートを含んでおらず、不具合の修正や機能改善のみの更新プログラムとなっています。特に問題がなければ次の月例に同梱されます。

『プレビューリリース』は文字通りに早期公開のプレビュー版なため、すぐにでも適用したい不具合の修正がない場合や、人柱になりたくない場合はスルーを推奨いたします。不具合の修正内容については各更新プログラムのリンク先よりご確認くださいませ。

以下、2021年10月1日に公開された更新プログラムの不具合およびその回避策・解決策になります。『.NET Framework』など、その他の更新プログラムやWindows Server固有の不具合は割愛しています。

更新履歴
① プリンターに関する既知の不具合を2件加筆。 [2021/10/14]
② 『スマートカード認証に失敗する不具合』と『印刷時に管理者資格情報の入力を求められる不具合』を既知の不具合に加筆。 [2021/10/19] [New]

21H1 / 20H2 / 2004用プレビューリリース: KB5005611

基本情報

KB5005611はWindows10 バージョン21H1 / 20H2 / 2004用のプレビューリリースと呼ばれる累積更新プログラムです。この更新プログラムを適用することで、機能の改善や不具合の修正などが施されます。ただし、あくまでもプレビュー版であることには注意が必要です。

この更新プログラムに新たな脆弱性の修正は含まれておらず、インストールしなくてもセキュリティ上の問題はありません。

修正された不具合・更新プログラムのハイライト

  • 夏時間の変更後にシステムの時計が1時間ずれる不具合を修正
  • Microsoft Outlookなどのアプリケーションが使用中に突然動作しなくなる不具合を修正
  • Microsoft Outlookアドインで『返信』を選択した後に入力ができなくなる不具合を修正
  • 特定の解像度環境において、『ニュースと関心事項』のアイコンがぼやける不具合を修正
  • 『ニュースと関心事項』を無効にしていても、コンテキストメニューに『ニュースと関心事項』が表示される不具合を修正
  • Cortanaやその他の音声アシスタントが録音する音声に歪みが生じる不具合を修正
  • 再起動後にPCが動作しなくなる不具合を修正
  • タスクバーが画面下部にないとき、アプリケーションのフォーカスが失われる不具合を修正
  • 高速スタートアップでの際起動後にNumLockの状態を維持できない不具合を修正
  • xhunter1.sysドライバの読み込みを妨げる不具合を修正しました。その結果、Hypervisor-Protected Code Integrity (HVCI)を有効にすると、一部のゲームを実行できなくなります
  • 再起動後にストップエラーが発生する不具合を修正
  • 初めてネットワークプリンターを接続しようとしたPCにおいて、ドライバのダウンロードとインストールに失敗する不具合を修正

不具合情報

KB5005611には以下の既知の不具合があります。

既知の不具合
不具合概要回避策

Windows10 バージョン2004 / 20H2 / 21H1に搭載されている新しい日本語IMEを使用していると、アプリケーションにおいて、ローマ字/カナ入力モードが自動的に切り替わらない場合があります。

開発者向け情報: アプリケーションが『ImmSetConversionStatus』関数、またはVK_KANAキーエミュレーションを使用している場合、この不具合の影響を受けます。

詳細は以下の記事参照。
新しいIMEにまた不具合。入力モードが自動で切り替わらない。対処方法あり

以下のいずれかの対処方法をご検討ください。

< 対処方法A >
手動で入力モードを変更する。

< 対処方法B >
以前のバージョンのIMEを使用する。『設定』 → 『設定の検索』に「日本語 IME の設定」と入力して『日本語 IME の設定』を開く → 『全般』 → 一番下の『以前のバージョンの Microsoft IME を使う』をオンに変更することでこの不具合を回避できます。

『以前のバージョンの Microsoft IME を使う』をオンに変更

濁点や半濁点が付いている一部の半角カタカナと全角カタカナの文字は、同じ文字として解釈されません。CompareStringEx()関数でNORM_IGNOREWIDTHフラグを指定して比較すると、ソートルールの不具合により、これらの文字は異なるものとして評価されます。この不具合は、2020年6月10日以降のWindows10 バージョン21H1 / 20H2 / 2004のすべての更新プログラムに影響します。

コマンドプロンプト(管理者)を開いて、以下のコマンドを入力・実行してください。

reg add HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Nls\Sorting\Versions /ve /d 0006020F /f

上記コマンドはレジストリのデータを書き換えるコマンドです。PCを再起動するとソートルールが1909以前に戻って不具合が発生しなくなります。

ただし、この回避策は、2020年12月1日公開のKB4586853以降が適用されている環境でのみ行ってください。KB4586853以降が適用されていない環境で行うと、PCが起動しなくなる恐れがあります。

また、Microsoftは元に戻す方法を案内していませんので実行する際はご注意ください。

こちらの環境で調べたところ、元のデータは20H2 / 2004ともに『00060305』だったので以下を実行すれば元に戻るはずです。

reg add HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Nls\Sorting\Versions /ve /d 00060305 /f

環境によってデータが異なるなんてこともあるかもしれませんので、レジストリエディターで『HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Nls\Sorting\Versions』を開いて、『(既定)』の変更前のデータを確認しておくことをおすすめいたします。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Nls\Sorting\Versions

上記内容でいまいちよくわからない場合や、この不具合に困っていない場合は、この回避策の実行はおすすめいたしません。修正されるのを待つことをおすすめいたします。

カスタムオフラインメディアまたはカスタムISOイメージからWindows10をインストールした環境だと、この更新プログラムによってMicrosoft Edge Legacyが削除されても、新しいMicrosoft Edgeに自動的に置き換えられない場合があります。

この不具合は、カスタムオフラインメディアまたはISOイメージが、2021年3月29日以降にリリースされたスタンドアロンのサービススタック更新プログラム(SSU)を最初にインストールせずに、この更新プログラムをイメージにスリップストリームして作成された場合にのみ発生します。

なお、WindowsUpdateに直接接続して更新プログラムを受信するデバイスは影響を受けません。これにはWindows Update for Businessを使用しているデバイスも含まれます。

この不具合を回避するには、最新の累積更新プログラム(LCU)をスリップストリームする前に、まず2021年3月29日以降にリリースされたスタンドアロンのサービススタック更新プログラム(SSU)をカスタムオフラインメディアまたはISOイメージにスリップストリームしてください。

1. 以下のコマンドでmsuからcabを抽出します。(KB5000842での例)

expand Windows10.0-KB5000842-x64.msu /f:Windows10.0-KB5000842-x64.cab <保存先のパス>

2. 以下のコマンドでcabからSSUを抽出します。

expand Windows10.0-KB5000842-x64.cab /f:* <保存先のパス>

3. これでSSU cab『SSU-19041.903-x64.cab』が作成されます。このファイルを最初にイメージスリップストリームして、次にLCUを入れてください。

カスタムメディアを使用してOSをインストールした際にこの不具合が発生した場合は、新しいMicrosoft Edgeを直接ダウンロードして手動インストールすることで、この不具合に対処できます。新しいMicrosoft Edge for businessを広範囲に展開する必要がある場合は、『ビジネス向け Microsoft Edge をダウンロードして展開する』を参照してください。

2021年5月26日に公開されたWindows10 バージョン21H1 / 20H2 / 2004用プレビューリリースKB5003214および2021年6月22日に公開されたプレビューリリースKB5003690をインストールした一部環境において、7月7日(KB5004945)以降の更新プログラムがインストールできない場合があります。その際、『PSFX_E_MATCHING_BINARY_MISSING』というエラーメッセージが表示されます。

詳細は以下の記事参照。
KB5004237等のインストールに失敗する不具合。対処方法あり

Microsoftによると、放っておいても『Windows Update Medic Service』(WaaSMedicSVC)サービスにより、インプレースアップグレードが行われて自動的に修復されるとのこと。

より早く問題を解決したい場合は、以下の手順を実行してください。

  1. 『スタート』 → 『Windows システム ツール』 → 『コマンド プロンプト』を右クリックして『その他』 → 『管理者として実行』
  2. コマンドプロンプトに『Reg.exe Add HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion /v AllowInplaceUpgrade /t REG_DWORD /f /d 1』と入力してエンター。

これで最大で48時間以内にインプレースアップグレードが行われて、同時に最新のセキュリティ更新プログラムも適用されます。

ARM環境の場合は別途KB5005932が必要になります。詳細はこちらをご覧ください。

プリントサーバーで定義された印刷プロパティが、クライアントPCに正常に反映されない場合があります。結果、サーバー上で定義されたカスタム設定(両面印刷設定など)が自動的に適用されずに、デフォルト設定で印刷されてしまいます。

詳細は以下の記事参照。
Windows10 / Windows11でプリンターに関する複数の不具合。Windows10はKB5006670等で一部修正

この不具合は、2021年10月13日に公開されたセキュリティ更新プログラムKB5006670にて修正されました。本不具合にお困りの場合は、KB5006670以降をインストールしてください。

IPP (Internet Printing Protocol)プリンターのインストールが正常に完了しない場合があります。

この不具合は2021年9月15日公開のKB5005565から発生しています。KB5005565をインストールする前にプリンターに接続してインストールしたPCは影響を受けず、通常どおりに印刷が行えます。

詳細は以下の記事参照。
Windows10 / Windows11でプリンターに関する複数の不具合。Windows10はKB5006670等で一部修正

KB5005565までアンインストールすることで、正常にインストールできるようになります。

Microsoftは不具合の解決に取り組んでおり、今後のアップデートで修正を予定しています。

[New]

2021年10月1日公開のプレビューリリースKB5005611以降をインストールしていると、信頼されていないドメインのPCにリモートデスクトップで接続する際、スマートカード認証での接続に失敗する場合があります。

Microsoftは、この不具合をKnown Issue Rollback (KIR / 更新プログラムをアンインストールしなくても問題の部分だけをロールバックできる機能)を使用して修正すると述べており、一般的なPC環境や、企業や組織に管理されていないPC環境の場合、放っておいても最大で24時間以内に自動的に修正されます。PCを再起動すると、早く修正される場合があります。

企業や組織等で管理されているPCでは、以下の特別なグループポリシーをインストールして設定することで解決できます。

Windows10 21H1 / 20H2 / 2004用
Windows Server 2022用

詳細は『グループ ポリシーを使用して既知の問題ロールバックを展開する方法』をご覧ください。グループポリシーを設定後はPCを再起動する必要があります。

[New]

2021年9月15日公開のセキュリティ更新プログラムKB5005565以降をインストールすると、印刷しようとするたびに管理者権限を求めるメッセージが表示される場合があります。この不具合はプリントサーバーとプリントクライアントPCが異なるタイムゾーンの場合に発生します。

この不具合は、2021年10月13日に公開されたセキュリティ更新プログラムKB5006670にて修正されました。本不具合にお困りの場合は、KB5006670以降をインストールしてください。