台湾メディアがSSD障害を再現できたと報じる。Windows11 24H2環境で報告されていた不具合。ただ謎は残る
台湾メディアのPCDIY!が、Windows11 24H2環境で報告されているSSD障害を再現でき、その原因も判明したと報じました。ただ、謎は残ります。
事の発端
2025年7月23日のプレビューリリースKB5062660や2025年8月13日のセキュリティ更新プログラムKB5063875をインストールした一部のユーザーから、数十GBの大容量の単体ファイルや、合計数十GBになる大量のファイルを連続で書き込んだ際にSSDが認識しなくなるという不具合報告が出ています。ほとんどの場合において再起動で再認識するようになりますが、そのままアクセス不能になった事例も報告されています。これらの更新プログラムをインストールしてから発生するようになったことから、不具合が発生したユーザーからはKB5062660やKB5063875が怪しいと見られていましたが、Microsoftは更新プログラムとの関連性を否定しました。
詳細やこれまでの経緯については以下の記事をご覧ください。
なお、この不具合はあくまでも一部の環境でのみ発生が報告されており、すべての環境で発生するものではありません。大規模な発生は確認できていないことから、発生条件がかなり限定的で、環境依存度が極めて高い可能性が考えられます。
本題: PCDIY!がSSD障害を再現できたとの報道
本題です。台湾メディアのPCDIY!はこのSSD障害を再現できたとして、以下のように報じています。
ここ最近話題になっているWindows11環境でのSSD障害の原因が判明した。 私たちは手持ちのSSDを使用して100GBおよび1TB超の大容量ファイルの書き込みテスト行ったところ、以下の障害が発生した。
SSDコントローラーはMP600が『Phison PS5016-E16-32』、US70が『Phison PS5026-E26-52』を使用している。 このことを知ったPhisonは私たち連絡を取り、4名のエンジニアが私たちのところを訪れた。Phisonは以前に自社ラボで4,500時間以上、2,200回を超えるテストを行ったが問題を再現できなかったため、私たちの検証結果に注目していた。 Phisonは同じSSDを持参し、私たちの環境でテストを行ったが、半日以上かけても再現できなかった。Phisonは私たちの故障したSSDを持ち帰って調査を行った。そして、なぜ私たちのSSDで障害が発生したのか判明した。 私たちのSSDのファームウェアは、製品として出荷される最終版のファームウェアではなく、未完成のエンジニアリングサンプル版だったのだ。これに起因して障害が発生したという。 市場に流通している製品版SSDはエンジニアリングサンプリング版ではなく、徹底的にテスト・検証された正式なファームウェアが使用されている。つまり、一般消費者は私たちが経験したようなSSD障害が発生することはない。 ― PCDIY! |
PCDIY!が検証に使用したSSDは、おそらくはレビュー用にメーカーから早期に提供されたもののため、ファームウェアがエンジニアリングサンプル版だった、ということでしょう。で、そのエンジニアリングサンプル版のファームウェアに起因して障害が発生したとされています。
ただ、この報道を見て「なるほどそうだったのか」と納得できる人は少ないでしょう。
X (旧Twitter)上で報告されている障害が発生したSSDはPhison製コントローラーだけに限らず、さまざまなコントローラー環境で発生が報告されています。また、X上での報告は、レビュアーではなく一般人からの報告のはずです。(つまり、エンジニアリングサンプル版ではなく製品版ファームウェア) そのため、PCDIY!の報道には当てはまらない可能性が高いと考えられます。(例えば、報告者全員がレビュアーだったり、製品版ではないエンジニアリングサンプルのファームウェアだったり、なんて可能性は相当に低いでしょう。仮にそうだとしてもPhison製コントローラーを使用していないSSDでも発生する原因は不明のままです)
ただ、市場には流通していないエンジニアリングサンプル版のファームウェアではこの障害を再現できた、という1つの事実が判明したこともたしかです。
結論を言えば、1つの事実は判明したものの引き続き謎は残ったままとなります。