一部のLGA1700 Intel CPU環境でゲームがクラッシュする不具合。Core i9-13900KやCore i9-14900Kなどで発生。根本的な解決方法はCPUを交換 [Update 2]

CPU

Intel Core

一部のLGA1700 Intel CPU環境で、ゲームがクラッシュするという不具合が発生しています。海外メディアのTom’s Hardwareが報じました。

更新履歴 [記事初公開日: 2024/2/22]
① Intelのコメントを加筆。 [2024/2/23]
② 記事下部に続報のリンクを加筆。 [2024/4/21] [New]

一部のCore i9-13900KとCore i7-13700Kユーザーから、ゲームがクラッシュするとの不具合報告がちらほら出ている。この不具合は、私たちのGPUレビュアーやWCCF TECHのHassan Mujtaba氏も経験している。また、Steamにもスレッドが立っている。

この不具合は主にシェーダーコンパイルを使用するゲームタイトルで発生が確認されている。クラッシュする際、「Out of video memory trying to allocate a rendering resource」(レンダリングリソースを割り当てようとしているビデオメモリが不足しています)というエラーが表示されることがある。

私たちのGPUレビュアーであるJarred Walton氏は、『Alan Wake 2』『ホグワーツレガシー』『Horizon Zero Dawn』『アヴェウムの騎士団』『Metro Exodus Enhanced Edition』『The Last of Us Part I』など、多くのゲームでこの不具合を経験した。

エラーメッセージはビデオメモリについて言及しているが、実際のところ、ビデオメモリに問題はない。この不具合を調査したところ、CPUの電力や電流に関連していることがわかった。

Core i9-13900Kの電力を手動で275~300W、アンペアを350Aに制限したところ、クラッシュしなくなり完全に安定した。逆に、マザーボードのデフォルト設定の『Auto』や、4096W / 4096Aの電力制限解除に設定すると不安定になった。

電力、電流、電圧、動作クロックは相互に影響しているため、どれか1つを変更すると他のものにも影響を及ぼす。つまり、これらのうちどれかを下げればうまく安定する可能性がある。Warhammerなどを手掛けるFatsharkは、Core i9-13900K / Core i7-13700Kユーザーにクロックを200MHz下げると安定するというアナウンスをしている。電圧を下げて安定したというユーザー報告もある。

電力、電流、電圧、動作クロックは、Intel Extreme Tuning Utilityといったツールを使用すればWindows上から変更できる。もちろん、マザーボードのBIOS / UEFI上からも変更可能だ。

BIOS / UEFI上からも変更できる
BIOS / UEFI上からも変更できる

Core i9-13900KやCore i7-13700Kがなぜこのように不安定になるのか、そして、電力、電流、電圧、動作クロックを下げることで安定するようになるのか、正確な理由はわかっていない。また、この不具合が発生する個体もあれば発生しない個体もある。発生する個体が不良品なのかどうかはわからない。この不具合は同じRaptor Lake系列であるCore i9-14900KやCore i7-14700Kでも起こりうる可能性がある。(※筆者注: Core i9-14900KFでも発生しているとの報告が出ています)

もし、同様の不具合を経験している場合は、動作クロックや電圧を下げたり、電力/電流の制限を試してみてほしい。

本件についてIntelにコメントを求めたが、現時点では回答を得られていない。

< Update 1: 2024/2/23追記 >
本件について、Intelから以下のコメントを得られた。

第13世代および第14世代のK付きデスクトッププロセッサーにおいて、特定のワークロードで問題が発生しているとの報告を受けています。現在、パートナーと協力して報告された問題の分析を行っています。

Intel

早く解決されることを願うばかりだ。

[Source: Tom’s Hardware

この症状で気になる点があります。WCCF TECHのHassan Mujtaba氏は、最初のうちは問題なかったものの、数か月後にこの不具合が発生しだしたと述べています。

Reddit (1 / 2 / 3)やSteamでも同様に最初の数か月は問題なかったもののしばらく経ってから発生するようになったと報告されています。また、CPUを返品・交換したRedditユーザーは、新しいCPUに変えたら不具合が発生しなくなったと述べています。根本的に解決するにはCPUを交換するしかないようです。

奇妙なことに、最初は問題なく、しばらく経ってから発生するという部分が共通しています。

正直、CPUの物理的な曲がりが悪影響を及ぼしているのではないかと疑ってしまいます。(LGA1700 CPUは、ソケットに取り付けてから時間が経つと物理的に曲がります。詳細はこちらの記事をご覧ください) ただ、それが原因なら、多くの人が該当するでしょうし、もっと阿鼻叫喚になっているようにも思えます。

原因がどこにあるのかはわかりませんが、何にしても、この症状が発生した場合は、保証期間内であれば返品または修理に出すことをおすすめいたします。

< Update 2: 2024/4/21追記 >[New]
本件に関する続報が入りました。詳細は以下の記事をご覧ください。

  Intel第13~14世代CPUが破損・劣化する不具合の続報