Intel第13~14世代CPUの不具合、0x12Bが最終的な修正と報じられる。本当に?

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海外メディア各所で、Intel第13世代および第14世代CPUが不安定になる不具合は、0x12Bマイクロコードが最終的な修正と報じられています。

Intel第13~14世代CPUの不具合は0x12Bをもって解決したとの報道

この報道の一次ソースはThe Vergeで、『IntelによるとRaptor Lakeチップがクラッシュする悪夢は終わった』と題したタイトルで報じており、The Vergeの記事を一次ソースとして、WCCF TECHは『Intel第14世代および第13世代CPUの不安定性の不具合は解決し、0x12Bが最終的な緩和策だと確認できた』と、VideoCardzは『Intel第13~14世代の不安定性が修正されたことを確認。今後、アップデートはない』と報じています。

いったい何をもってこういった報道を行っているのかと申しますと、IntelはThe Vergeのインタビューで以下のように述べています。

はい、これが原因であり、修正されたことを確認しています。

― Intel広報担当 Thomas Hannaford

この発言をもって、上記のような記事タイトルで報じられています。

ここでいう『これ』とは、2024年9月末にIntelから発表された以下の4つの不安定になる原因と緩和策。

▼影響を受ける第13世代および第14世代プロセッサーが不安定になる4つシナリオ

  • マザーボードの電力供給がIntelの電力ガイダンスを超えている
    • 緩和策: Intel Default Settingsの使用を推奨
  • eTVBマイクロコードアルゴリズムにより高温状態でも高パフォーマンスで動作してしまう
    • 緩和策: マイクロコード0x125 (2024年6月リリース済み)にて修正
  • SVIDアルゴリズムが高電圧を要求
    • 緩和策: マイクロコード0x129 (2024年8月リリース済み)にて修正
  • アイドル時や軽い負荷時にVmin Shiftの原因となる高電圧を要求
    • 緩和策: 0x12B (0x125および0x129を内包)マイクロコードで対処
- Intel

これらがCPUが不安定になる『原因』であり、Intelが「修正されたことを確認しています」と発言したため、The Vergeは「悪夢は終わった」と、その他のメディアも0x12Bで最終的に解決したと報じています。

本当にそうならとても良いことですね。

本当にこれで終わり?

疑問が残ります。

本当にこれで終わったのならそれに越したことはありません。ただ、Intelからは明確に「最終的な修正を完了し、この件に関するBIOSアップデートはこれ以上ありません」といったような発言はありません。Intelはあくまでも「これが原因であり、修正されたことを確認しています」と言っただけに過ぎません。見方によっては、Intelの発言は「(現時点では)これが原因であり、修正されたことを確認しています」という風に受け取ることもできます。各メディアの記事タイトルは、Intelの発言を少々良い方向に曲解しているように感じます。

Intelは2024年7月下旬に「電圧上昇の根本的な原因に対処するためのマイクロコードパッチを(マザーボードメーカーやOEMなどに)提供しており、この問題に確実に対処するために検証を続けています。完璧な検証を経て、2024年8月中旬を目処にパートナーへとパッチをリリースする予定です」と述べており、その後、0x129マイクロコードを含んだBIOSが各マザーボードメーカーからリリースされました。

Intelは0x129を「根本的な原因に対処するためのマイクロコードパッチ」と言っていたにもかかわらず、それからしばらくして2024年9月末に新たな原因が見つかって0x12Bについての発表・リリースがありました。

またいつか、新たな『原因』の1つが見つかっても不思議ではないと筆者は考えます。願わくば、そんなことにはならず、0x12Bで本当に終わってほしいところです。