Windows回復環境でマウスとキーボードが動作しない不具合。2025年10月のWindows Update後に発生。Windows11 25H2 / 24H2にて。KB5067039が原因。回避策あり
Windows11 25H2およびWindows11 24H2環境において、Windows回復環境(Windows RE / WinRE)でマウスとキーボードが動作しなくなる不具合が発生しています。
Windows Update後からWindows回復環境でマウスとキーボードが動作しない
Windows11 25H2およびWindows11 24H2環境において、日本時間で2025年10月15日の月例Windows Update後から、Windows回復環境でマウスとキーボードが動作しなくなる不具合が発生しています。
Windows回復環境とは、Windows上で[SHIFT]キーを押しながら再起動するか、Windows起動中に強制的に電源オフを2回繰り返すことで入れる以下の画面です。
2025年10月15日の月例Windows Updateをインストールすると、この画面でマウスとキーボードが動作しなくなる場合があります。
この不具合の原因は、2025年10月15日にリリースされたWindows回復環境用の更新プログラムKB5067039。(セキュリティ更新プログラムのKB5066835が原因ではありません) KB5067039をインストールすると、Windows回復環境のバージョンが10.0.26100.6891になります。この10.0.26100.6891に問題があります。
なお、この不具合は必ず発生するわけではありません。PC環境によって発生したり、しなかったりします。具体的な発生条件は不明です。筆者の場合、2台中1台が発生しました。
▼不具合が発生したPC
- Windows11のシステム要件を満たしたPC
- TPM 2.0有効、セキュアブートオン
- Core i9-10900K
▼不具合が発生しなかったPC
- Windows11のシステム要件を満たしていないPC
- TPM 2.0非対応、セキュアブートオフ
- Celeron G1620
Windows11のシステム要件を満たしたPCでは発生しましたが、Windows11のシステム要件を満たしていないPCでは発生しませんでした。要件を満たしていないPCの方が正常に動作するとはなんとも皮肉なものです。(といっても、本不具合にTPM 2.0とセキュアブートは関係ないものと思われます。発生したPCでTPM 2.0とセキュアブートを無効にしてWindows回復環境を起動してみましたが、マウスとキーボードは動作しないままでした)
また、当サイト宛てに以下の4台中3台で本不具合が発生したとのご報告をいただきました。
- Windows11 25H2 Z690 + Core i9-12900KF: 不具合発生
- Windows11 25H2 Z790 + Core i9-14900KF: 不具合発生せず
- Windows11 24H2 B760M + Core i5-13400F: 不具合発生
- Windows11 24H2 B760M + Core i3-14100: 不具合発生
対処方法・回避策
この不具合の一時的な対処方法・回避策としては、Windows回復環境のファイル『Winre.wim』を古いバージョンのもの(10.0.26100.6891より前)へと置き換えることでマウスとキーボードが動作するようになります。
- 不具合が発生するバージョン
- 10.0.26100.6891
- 不具合が発生しないバージョン
- 10.0.26100.6713 (1つ前)
- 10.0.26100.5059 (Windows11 25H2のISO)
ただ、古いものへと置き換えたことで、PCに何かしらの不具合や不都合が生じても筆者は責任を負いません。正規の対処方法ではないため自己責任にて行ってください。
どうしても緊急にWindows回復環境を使用する必要がない限り、Microsoftが修正するのを待つことを強くおすすめいたします。
『Winre.wim』を置き換える手順は以下。ちなみに結構面倒です。2025年10月15日のWindows Update前の環境があれば楽です。とりあえず一通り読んでみてください。
1.)
MicrosoftからWindows11 25H2のISOをダウンロードして、Rufus等でインストールメディアを作成してください。
2.)
インストールメディア内の『sources』フォルダを開いて、『install.wim』をどこか任意の場所に保存してください。
3.)
7-Zipを使って、『install.wim』を任意の場所に『展開』してください。展開が完了したら『1\Windows\System32\Recovery』にある『Winre.wim』を任意の場所に保存してください。この抽出した古い『Winre.wim』へと置き換えます。(バージョン10.0.26100.5059)
4.)
コマンドプロンプトを『管理者として実行』で起動して、以下のコマンドを実行してください。
reagentc /disable |
このコマンドを実行すると、Windows回復環境が無効になります。Windows回復環境が無効になると、『C:\Windows\System32\Recovery』に『Winre.wim』が表示されるようになります。表示された『Winre.wim』は念のためにバックアップを取っておいてください。
5.)
『3.)』で抽出した古い『Winre.wim』を、『C:\Windows\System32\Recovery』に上書きしてください。
6.)
再びコマンドプロンプトで、以下のコマンドを実行してください。
reagentc /enable |
このコマンドによりWindows回復環境が有効になります。Windows回復環境が有効になると、『Winre.wim』が表示されなくなりますが、これは正常の挙動です。
これでWindows回復環境が古いバージョンへと置き換わり、Windows回復環境でマウスとキーボードが動作するようになります。
2025年10月15日のWindows Update前の環境があれば、『1.)』『2.)』『3.)』をスキップして、Windows Update前の環境で『4.)』を行えば、楽に古い『Winre.wim』を入手できます。