Windows11 24H2から25H2へアプデしても設定は保持される。初期化はされない。ただし、Windows Update経由に限る(イネーブルメントパッケージ)

WindowsUpdate

Windows11 25H2

Windows11に大型アップデートを適用すると、レジストリやサービス、タスクスケジューラなどの各種設定が初期化されることがあります。では、2025年10月1日に公開されたWindows11 バージョン25H2 (Windows11 2025 Update)はどうでしょうか。

24H2 → 25H2へ、Windows Update経由(イネーブルメントパッケージ)でのアップデートだと設定が引き継がれる

Windows Update経由でWindows11 24H2からWindows11 25H2へアップデートして、タスクスケジューラ、サービス、レジストリをざっと調べたところ、24H2の設定が引き継がれていました。ただ、タスクスケジューラ『Application Experience』の『PcaPatchDbTask』は無効から有効にされていましたが、これは無効にしてても適宜勝手に有効にされたり、Windows Updateのタイミングなどで有効にされたりします。

そのほか、隅から隅まで全てを確認したわけではないので、もしかしたらほかにも初期化されているところがあるかもしれませんが、少なくとも自分の環境ではほかに初期化されている部分は見当たりませんでした。

Windows11 24H2と25H2は共通の内部構造をしており、同じ更新プログラムが使用できます。Windows Update経由で、共通の内部構造のバージョンへとアップデート(24H2 → 25H2)する場合は設定が引き継がれます。

Windows11 24H2環境の場合、Windows Updateにはイネーブルメントパッケージ(Enablement Package / eKB))と呼ばれる更新プログラムが降ってきて、Windows11 25H2へとアップデートされます。イネーブルメントパッケージとは、事前にダウンロード済みの無効化されていた大型アップデート(25H2)を、有効化するだけの更新プログラムです。

Windows Updateに降ってきたWindows11 25H2
Windows Updateに降ってきたWindows11 25H2
見た目上はイネーブルメントパッケージかどうかは判別できない

そのためWindows11 24H2から25H2へのアップデートはすぐに終わります。タスクスケジューラやサービス、レジストリの設定も保持されます。

インストールメディアからのアップデートだと設定が初期化される

共通の内部構造のバージョンへのアップデート(24H2 → 25H2)でも、ISO、メディア作成ツール (Media Creation Tool / MCT)、Windows 11 インストール アシスタント (Windows Update Assistant / WUA)といったインストールメディア経由でアップデートを行うと各種設定が初期化されます。インストールメディア経由でWindows11 24H2からWindows11 25H2へとアップデートすると、筆者の環境では以下の設定の初期化を確認しました。

  • 変更したレジストリの値が初期化されている。メニューの表示速度を変更する『HKEY_CURRENT_USER\Control Panel\Desktop\MenuShowDelay』の設定を『0』にしていたのがデフォルトの『400』に戻されているのを確認。
  • 削除や無効化したタスクスケジューラの中身が再び初期設定の有効になっている。『Application Experience』、『Autochk』、『Customer Experience Improvement Program』、『DiskDiagnostic』などの有効化を確認。
  • 無効化したサービスが再び初期設定の有効になっている。『Workstation』の有効化を確認。

このほか、Windows11 23H2からWindows11 25H2へとアップデートしても初期化されます。(Windows Update経由、インストールメディア経由問わず)

まとめると以下のようになります。

▼Windows11 24H2 → 25H2

  • Windows Update経由 / イネーブルメントパッケージの手動インストール: 設定が引き継がれる
    (※タスクスケジューラ『Application Experience』の『PcaPatchDbTask』は無効から有効になる)
  • ISO / MCT / WUA経由: レジストリやサービス、タスクスケジューラなどの設定が初期化される

▼Windows11 23H2 → 24H2 / 25H2

  • Windows Update経由: レジストリやサービス、タスクスケジューラなどの設定が初期化される
  • ISO / MCT / WUA経由: レジストリやサービス、タスクスケジューラなどの設定が初期化される
共通の更新プログラム 24H2系列: 24H2 / 25H2
共通の更新プログラム 22H2系列: 22H2 / 23H2

なお、初期化されるのはあくまでもレジストリやサービス、タスクスケジューラといった特定のWindowsの設定のみであり、サードパーティ製アプリケーションの設定が初期化されることはありません。

まとめ

今回、Windows Update経由でWindows11 24H2から25H2へバージョンアップする際は設定が引き継がれますが、次回の大型アップデートではどうなるかはわかりません。更新プログラムが共通でなくなったら、バージョンアップ時に設定が初期化されるでしょう。

例えば、更新プログラムが共通でないWindows11 23H2からだと、Windows Update経由だろうがなんだろうが24H2 / 25H2へとバージョンアップした際には設定が初期化されます。残念ながら、これはWindows10時代からの仕様です。

設定の初期化はいつやってくるかわからないため、初期化されたら困る変更箇所は、元に戻せるよう必ずメモしておきましょう。レジストリやサービス、タスクスケジューラなどのWindowsの設定を変更している方はお気をつけください。その辺の設定をいじっていない人は特に気にする必要はありません。

イネーブルメントパッケージの手動インストールについて

以下、余談です。イネーブルメントパッケージは基本的にWindows Update経由で提供されます。が、Microsoftのサーバーからダウンロードして手動でインストールすることもできます。

▼Microsoftのサーバーにアップロードされているイネーブルメントパッケージ

Windows11 25H2は段階的にロールアウトされており、いつ降ってくるかは環境により異なります。早くWindows11 25H2にしたいのに中々Windows Updateに降ってこず、待ちきれないという方は、イネーブルメントパッケージを手動インストールするとすぐに25H2へとアップデートできます。(注: イネーブルメントパッケージはWindows11 24H2専用です。Windows11 23H2では使用できません。また、イネーブルメントパッケージを使用する際は、前もってWindows Updateを実行して最新の更新プログラムをインストールしておいてください)

筆者環境でイネーブルメントパッケージの手動インストールを試したところ、特に問題なくWindows11 24H2からWindows11 25H2へとすんなりアップデートできました。

しかし、これは正規の方法ではありません。繰り返しになりますが、イネーブルメントパッケージはWindows Update経由で提供されるものです。基本的には、Windows Updateに降ってくるのを待つことを推奨いたします。

もしかしたら互換性の問題や何かしらの問題があってWindows UpdateにWindows11 25H2が降ってこないようになっている可能性があるため、安全を考えるなら、Windows Updateに降ってくるまでお待ちください。

上記イネーブルメントパッケージを手動インストールしたことで何か問題が発生しても筆者は責任を取れませんので、自己責任にてご利用ください。