Cooler Master、非を認め対応を改める。16ピンケーブルがグラボに差し込めない問題を受けて。一部のGeForce RTX 5000シリーズで発生していた問題。影響を受ける人はCooler Masterへ再度連絡を

GeForce

16ピンケーブルを16ピンコネクタに完全に差し込めない

Cooler Masterは、同社製の電源(PSU)に付属されている16ピンケーブルがグラボに差し込めない問題の報告を受けて、非を認め、対応を改めました。

事の発端

Cooler Masterの1250W電源『MWE Gold 1250 V2 ATX 3.1』に付属している16ピンケーブル(12V-2x6 / 12VHPWRケーブル)は、L字型となっています。

L字型の16ピンケーブルが付属
L字型の16ピンケーブルが付属

しかし、この形状のせいで一部のグラボ(ASUS GeForce RTX 5070 TiやMSI GeForce RTX 5090 SUPERIM SOCなど)の16ピンコネクタ(12V-2x6 / 12VHPWRコネクタ)には奥まで差し込むことができません。

あるユーザーが手持ちのGeForce RTX 5070 Tiに適合しなかったため、このことをCooler Masterのカスタマーサポートに連絡して、角度のない12V-2x6ケーブルを希望したところ、カスタマーサポートは付属のL字型ケーブルを改造するよう案内しました。

その案内が以下。

角度の異なるケーブルをご希望とのこと承知いたしました。弊社の16ピンケーブルはお客様にニーズに合わせてフラットタイプへと変換できるよう特別な設計を採用しております。以下の手順で変更できます。

16ピンケーブルの改造手順

― Cooler Masterカスタマーサポート

つまるところ、Cooler Masterカスタマーサポートは、L字化するためのガワを外して、ケーブルをまっすぐにして使用するよう案内しています。16ピンケーブル・コネクタは悪い意味でとても繊細です。このようなユーザーによる改造行為は推奨されるものではありません。

ドイツメディアのigor’sLABが確認したところ、この改造を行ってもコネクタの一部がひっかかってグラボの奥まで挿し込むことができませんでした。

改造しても奥まで差し込まれない

改造しても奥まで差し込まれない
改造しても奥まで差し込まれない

改造しても半差しの状態です。もし、この状態で使用すれば、16ピンケーブルやグラボの16ピンコネクタがどうなってしまうかはお察しでしょう。

奥まで差し込むには引っ掛かる部分を切り取る必要がありました。

引っ掛かり部分を切り取ってなんとか奥まで差し込めた
引っ掛かり部分を切り取ってなんとか奥まで差し込めた

また、igor’sLABは、Cooler Masterカスタマーサポートの指示通りに改造を行うと、各ケーブルの長さがズレて、長いケーブルは前に押し出され、短いケーブルは引っ張られる状態となり、時間の経過とともに問題となる可能性を指摘。

改造後、まっすぐにした16ピンケーブル
改造後、まっすぐにした16ピンケーブル

igor’sLABは、「Cooler Masterは明らかにこの問題を認識していたにもかかわらず、ケーブルの設計を見直すという当然の措置を講じなかった。その代わりに公式サポートはユーザーに対して改造するよう指示しているが、これはマイナスドライバーを使った単なる裏技に過ぎない。これはカスタマイズオプションや解決策ではなく、リスクと言える。16ピンコネクタは0.1ミリ単位の精度で設計されている。この改造はそれに直接手を加えることになる。ほんのわずかな変形でも接触圧が低下し、それによって接触抵抗の増加、局所的な過熱、最悪の場合は焼損を引き起こす恐れがある」と述べており、Cooler Masterの対応を非難していました。

本件についてCooler Masterが声明を発表

igor’sLABがCooler Masterを非難したあと、Cooler Masterはigor’sLABを通じてこの問題に対する声明を発表しました。その内容が以下。

現在の製品の状況についてご説明いたします。L字型(直角)の16ピンケーブルは段階的に廃止され、今後のモデルでは使用いたしません。L字型コネクタを採用した背景としては、ケーブル曲げによる負荷の軽減、狭いケース内での配線の見た目の改善を目的にしていました。しかしながら、ご指摘いただいたように、一部のグラフィックスカード(グラボ / GPU)では接続に問題が発生することがありました。

安全性とRMA対応について、以下の点を明確にさせていただきます。

  • ユーザーによるケーブルの改造・加工は推奨いたしません
  • 以前に弊社カスタマーサポートが案内していたDIYによる調整は行わないでください
  • 弊社は、全地域のサポートチームに対して、この対応をやめるよう指示いたしました
  • 互換性に問題が発生したユーザーに対して、まっすぐな12V-2x6ケーブルを提供いたします

現在まで、改造に起因する損傷報告は受けておりませんが、改造は安全な方法ではないと認識しており、安全を重視した対応を行ってまいります。

弊社の新しい12V-2x6ケーブルはすべてのグラフックスカードの電源ソケットレイアウトに対応するユニバーサル設計を採用しております。また、安全な差し込みを保証するため、2色仕様となっております。(紫色の部分が見えると完全に挿入されていません)

この度は皆様のテストとフィードバックに感謝申し上げます。こうした記事は、業界全体がより安全で信頼性の高いソリューションへと進化していく上でとても重要です。弊社は、実体験とコミュニティの皆様との率直な対話をもとに、継続的な改善に努めてまいります。

― Cooler Master広報マネージャー, Alessandro Delfino

Cooler Masterの対応は誠意あるもので、カスタマーサポートの改造案内を中止し、問題が発生したユーザーに対してまっすぐな16ピンケーブルを提供するとのこと。また、igor’sLABの指摘記事を「重要」とし、感謝の言葉を述べています。

最初のカスタマーサポートの対応は褒められたものではありませんが、Cooler Masterは非を認めて、きちんと対応を改めました。会社・広報としてあるべき対応と言えるのではないでしょうか。

Blackwell

Posted by にっち